世の中には、なんでこんな絵や文字の作品があるのだろうかと、なんでなんでと思うものに出会うことがあります。
以前からその一つに、室町時代の「日月四季山水屏風」(出光美術館)がありました。ところが先日、『永享九年正徹詠草』に
春の夜の夢のただぢの山桜いざ見にゆかむおもひ寝にして
見し人もあらしのさそふ夢の世を花も知るかとうれへ顔なる
とあるのを読むうちに「日月四季山水屏風」と共鳴するのを感じ、思い込みかもしれませんが、納得するところがありました。
定家の「春の夜の夢の浮橋とだえして峰にわかるる横雲の空」のような、つややかな夢幻ではなく、残影的、西方的な正徹のこの雰囲気が「日月四季山水屏風」の心持にしっくりと合うように思えたからです。
これは「和歌と絵の取り合わせ」ですが、「古文字を楽しむ」展では、こころときめき出会った「古文字」の作品をおもに集め、わたしの仕事の表具の技で「古文字と布を取り合わせ」ました。そのために「作品に共鳴する布」「歴史的な背景・格式」とを絡め合わせ、古典的でありながらも現代的なものにと心がけました。
しかし、一般に「作品に布を取り合わせる表具」が鑑賞のノイズと思われていて、そのことは、美術館の図録を見るとよく分かります。
掛軸や屏風、額の全体像が収載されているものは、敬愛する予楽院の表具を持つ陽明文庫など一部を除けばほとんどありません。作品の部分の拡大写真はあってもです。
しかしこのノイズと思われているものに、なんともいえない風の音、鳥の音ような情趣、また日本人の大切なものを「つつむ」という奥ゆかしさ、があることをほんの少しでも感じていただけたらと願っています。
作品は、
など18点ほどの展示です。ご高覧くださいませ。
場所 カフェ・シントン 西武国分寺線 鷹の台駅南に一分
日時 十一月八日~十五日 十一時半~六時 会期中無休
インキュナブラ
後二条院
浄瑠璃本
和漢朗詠集
チベット古文書
チベット古文書
ミャンマー古文書
ミャンマー古文書
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